与那国島にはアルコール度数60度の「花酒」という独自の泡盛文化があります。
与那国でしか作られていない特別なお酒。
- 与那国島の泡盛「花酒」
- 花酒の種類や酒造所
- 花酒の特徴
について紹介します。
与那国の花酒について
花酒の読み方はハナサキ・ハナザケなど様々で与那国島ではハナダキ・ハナダギと言われることもあります。
泡盛なのに泡盛じゃない?
花酒は泡盛と同じタイ米と黒麹という原材料と製法ですが、酒税法上は「泡盛」ではありません。
それはアルコール度数が60度あるため。
日本の酒税法上「泡盛は45度以下」と定められているので花酒は厳密には泡盛でなく「スピリッツ」という分類になります。
そのため花酒のラベルにはスピリッツと表記されています。
アルコール度数が60度と高いので火を近づけると燃えるので注意が必要です!
花酒と深く関わる与那国文化と歴史
花酒は与那国島の生活に昔から深く関わり、それが唯一与那国だけで花酒がつくられている理由ともつながっています。
与那国島では花酒を献上品として琉球王朝におさめていたり、冠婚葬祭にも使う文化がありました。
その文化の中でも代表的なのが「洗骨葬」という風習です。
与那国では昔、亡くなった人を火葬せず埋葬する際花酒を2本墓の中に一緒に入れ、7年後の洗骨の儀式のときにお墓に入れていた花酒1本で遺骨を清め遺灰にしてお墓に戻していました。
残りの1本は故人をしのびながら飲んだり、酒が飲めない人は薬として体の悪い部分に塗り故人に治してもらうように祈っていたというのが洗骨葬です。
以前、祖母のお骨を入れるために数十年ぶりに実家のお墓をあけたらお酒が1瓶出てきて家族全員で驚いたことがあります。
あれは洗骨葬の名残だったんですね…
花酒という名前の由来
花酒と呼ばれる名前の由来は諸説あり、その中でも代表的な2つを紹介します。
〇製造の蒸留工程で濃度の高い出始め(端先=ハナサキ)を使って製造していることから花酒と呼ばれている
〇昔は高いところからコップにお酒を入れ、中に出る泡の量でアルコールの度数を決めていたとされ、与那国の酒は他よりも泡の量が多く、花が咲いているように見えたことから花酒と呼ばれている
与那国酒造所と代表的な花酒
花酒は日本で与那国島の3つの酒造所のみで製造され、伝統を守っています。
崎元酒造所の<与那国>
与那国の中でも一番古い歴史の酒造所で、製造からラベル張りまで全て手作業。
希少な古代地釜蒸留機を使用し、少人数で島に伝わる伝統的な手作り製法を守っています。
クバ巻きの「与那国」や「花織酒」はお土産にもなります。
<崎元酒造所>
住所:与那国2329
電話:0980‐87‐2417
※予約すれば酒造所見学可能
国泉泡盛の<どなん>
人口添加物を一切使わず、昔ながらの直火式釜を使い伝統を守りながら生産から瓶詰めまで杜氏さんが行っています。
本土復帰後に著名人に紹介され日本一強い酒として代表商品「どなん」が有名になりました。
「どなん」は沖縄の方言で与那国という意味です。
花酒だけでなく、25度や30度、43度の泡盛も製造しています。
<国泉泡盛酒造所>
住所:与那国2087
電話:0980‐87‐2315
※酒造所見学可能
入波平酒造の<舞富名>
1989年に国泉泡盛から独立した酒造所です。
商品名の「舞富名(まいふな)」は八重山方言で「おりこうさん、親孝行」という意味。
酒造見学はしていませんが(対応準備中だそうです)、お酒は空港内のお土産屋さんで購入することができます。
<入波平酒造所>
住所:与那国4147‐1
電話:0980‐97‐2431
花酒の特徴
アルコール度数が60度と高いので冷凍庫に入れても凍りません。
冷やすととろみがついて濃厚な甘みや香りが引き立ち、少し時間がたつと薄青白く色が変化するのも面白いです。
すこしずつちびちびと飲むと花酒本来の味が味わえますが、初心者の方はお湯割りや水割りにして味見した方がいいかもしれません。
私はシークワーサーを入れたりもしています。
※初めて飲まれる方やお酒の弱い方は注意してくださいね。
お土産に購入
花酒は工場見学ができる国泉泡盛・崎元酒造所で購入でき、飲み比べセットやクバ巻きボトル、花織ボトルがお土産用に販売されています。
他にも与那国空港売店でも購入することができますが空港売店は早く閉まることがあるので注意が必要です。
※私が与那国島へ行った時は、与那国島内の共同売店より空港売店のほうが品数は豊富でした。